バイクの年間維持費
けれど長くバイクに乗っていると、引っ越しや結婚、出産などなど生活の変化で維持費というものが重くのしかかってくることがあります。
何を隠そう、私自身いま新しく加入する学資保険のことで頭がいっぱいです。
そこで私自身がモデルケースとして、実際の維持費を計算してみました。
バイクの年間維持費、気になったので簡単に検証してみます。
車両はBMWのG650GSというアドベンチャーバイクです。
BMWというのはコンディションの維持にお金がかかると評判ですが、年式も比較的新しめでまだ消耗品もそれほど多くありません。
友人のBMWハイエンドツアラーは年間の整備費だけで10万円はかかっていたそうです。
BMWとはいえ今回の車両は国産車と変わらない構造のシンプルなアドベンチャー系のローエンドモデルです。
国産車と比べても、タイヤやブレーキパッドといった通常の消耗品価格はほとんど変わりません。
まずは費用を書き出してみましょう。
バイクの消耗品費(BMW G650GSの場合)
走行距離や保管状態でも変わってきますが、年間5,000kmから1万km程度走行を想定しています。
やや頻繁なグリスアップと油脂交換で、各部ベアリングやチェーンスプロケ類、フォークのメタルシール類を出来るだけ長持ちさせる方針です。
購入後3年間で使った消耗品(予測含む)
グリス・油脂類・・・約5,000円
オイル(6回分)・・・約12,474円
オイルフィルター(3本)・・・約3,198円
プラグ2本・・・約3,304円
バッテリー・・・約10,810円
フォークオイル(6本)・・・約9,900円
ブレーキフルード・・・(1本)・・・約700円
その他雑費・・・約10,000円
2年毎(新車は初回3年目)
毎年
年間維持費の推定
ここでは次の様に定めます。
ですが月に1度しか乗らない方もいれば毎日通勤で使っている方もいますので別枠にしました。
年間整備費
年間の整備費は推定約33,000円。
ただしこの額はすべての作業を自身で行ったらの話。
年間の保険・税金・車検費用
年間換算すると約36,000円になります。
整備費用とほぼ同額の費用が掛かっていますね。
等級の為に保険を残しておけばよかったのですが、度重なる引っ越しとバイク降りた宣言で書類を処分してしまい、車両購入時に入りなおしたのが痛かったです。
今回は含めなかった工賃について
実作業がイメージしやすいように、私がブログで書いた作業記事も一緒にご参考ください。
これらの作業をすべてバイク屋さんに依頼したとしたら、工賃は大雑把に推定して年間約3万円ほど。
2年毎の車検をバイク屋さんに依頼した場合、これも大雑把に推定して1回4万円。年間換算で約2万円とします。
これはちょっと高めに見積もっています。
バイク屋さんに車検を依頼すると、流れでブレーキフルード類、場合によってはクーラント交換もすることも多いのでこのくらい見積っておいた方が正確です。
自分でまったくメンテナンスをせず、過走行気味だったとしたら、バッテリーやベアリング、チェーン、スプロケットその他消耗品の寿命は縮み、部品や工賃も3年でざっくりプラス3万円(年間約1万円)程度と見積もっておきます。
あくまでざっくり、大雑把な推定ですが、ブログなんかでご自身で全部整備されている方をよく見ますが、大体年間6万円くらいは節約になっているのかなと想像できます。
付け加えなくてはいけないことがひとつあります。
公道使用の趣味で使うバイク、通常これだけのメンテナンスを施すことは稀です。
もちろんした方がいいに越したことはありません。
普段からこのくらい手をかけていれば、ベアリングやチェーン、スプロケット、フォークシールやメタル類といった、『不具合が出たら交換する消耗品』も格段に長持ちしますし、車体のヤレを感じることなく何年たっても良いコンディションのままバイクに乗り続けることができます。
しかしこれらは乗る期間が新車から5年程度ならほとんど手を掛けなくても『持つ』部品でもあります。
車体のヤレ感を見て短期間で乗り換える考え方の方にとっては不要といえる整備内容なのかもしれません。
- オイル交換(年2回)
- フォークオイル交換(年1回)
- ブレーキフルード交換(年1回)
- ラジエターのクーラント交換(2年に1回)
- プラグ交換(3年に1回)
- バッテリー交換(3年に1回)
- ブレーキパッド交換(3年に1回)
- エアフィルター交換(状態次第)
- タイヤ交換(3年に1回)
- 各部ベアリングのグリスアップとケーブル類の注油
参考ブログ記事:クラッチレバーの分解清掃・グリスアップ
※参考ブログ記事は同一ページで複数の作業を行っているため重複しています。
年間維持費まとめ
自分で整備をして、ユーザー車検で済ませたとしても年間7万円前後の年間維持費となります。
車検のない車両の場合、頻繁にタイヤを交換する使い方の場合、該当する額を引いたり加算したりすることでご自分のケースを想定してみてください。
おそらく5年程度はこの年間維持費でいけると思います。
5年を超えたあたりから、ベアリング類やブレーキキャリパー、リアサス等、車体のヤレを感じ始めるかと思います。
これらもしっかり手入れをしてオーバーホールしながら長く乗る場合、5年目以降の年間維持費は1.2~1.5倍程度を見ておく必要があります。
バイク屋さんに作業を依頼した場合と自分で整備する場合で維持費は大きく変わってきます。
ですが素人整備によるこの節約額が妥当かと言えば実に微妙なところ。
素人整備の落とし穴
もしこれを一から揃えようと思えば、工具代だけで20万円はしそうです。工具代の元を取ろうとしたら、年間6万円の節約で3~4年かかります。
工具類の保管スペースも地味にコストにのしかかります。
自身で作業をするわけですから、情報を調べる時間もバカになりません。
素人整備ですから、作業をやりながら覚えるスタイルです。
ちゃんと整備できるかどうかのリスクもつきまといます。
整備士の方に言わせると、”素人はイジリ壊す”と表現されるようです。
それにケガのリスクが大きいです。
様々なリスクがあることもしっかり認識したうえで、無理せず手に余る作業はプロに任せることが大切です。
休みの取りにくい方も、せっかくの休日をメンテナンスにあてるのも本末転倒ですよね。
整備はバイク屋さんに丸投げして、少ない自由な時間をバイクに乗ることに充てるのも良い考えです。
節約に繋がる6つのお約束
・・・私の経験上の話ですが、わりと的を射ているハズです(たぶん)。
すこしご紹介させていただきたいと思います。
1.エンジンオイルを入れすぎない
けれど入れすぎたエンジンオイルはロクなことがありません。
多少抵抗が増える程度と考えていいのは規定量の10%程度です。
それ以上入っていると思わぬトラブルが発生することがあります。
具体的にはヘッド周りの部品やガスケット類の損傷です。
特に愛車のG650GSは気を抜いたらいくらでもオイルを飲み込んでいくロータックス製652ccシングルエンジン。
ちゃんとゲージを見てマニュアル通りに入れたはずのエンジンオイル。
30kmほど走行後、オイルレベルゲージがMAX位置を少し超えていたので100mlオイルを抜きました。
また走ってオイル量を確認すると、またMAX位置より上に油面がきています。また100ml抜きます。
さらにまた走ってオイル量を確認すると、またまたMAX位置に油面が上がっている・・・
結局800ccも多くエンジンオイルが入っていました。
エンジンオイルが10%程度多い少ないは常識的な設計であればまず平気です。
しかし過度に入れすぎたオイルはエンジンの損傷を招くことがあります。
あくまでも可能性。入れすぎても7万キロ走れるエンジンもありますが明日ヘッドからオイルを吹くエンジンもあります。
入れすぎにくれぐれもご注意。
エンジンオイル、レベルゲージはセンター狙いでこまめにチェックをオススメします。
2.走行直後に洗車しない
昔のバイクはシリンダー自体にクラックが入ったりすることもありました。
最近のバイクならそんなことはほとんど無いと思いますが。
何が悪いのかというと、冷えていない停車直後の膨張した部品に大量の水をかけると、局所的に冷やされ収縮、一時的または恒久的に部品を変形させます。
これはエンジンが回っているときに雨が当たるのとはワケが違います。
最悪部品の変形・亀裂の原因になります。
そこまでいかなくても、内部でどこがどう引っ張られるのか分かったものじゃありません。
ガスケット面を引っ張ったり、押し付けたり、横にずらそうとする力が(運悪く)かかることも当然あります。
クリアランスや公差の広い古いエンジンだとオイルリークのリスクは増えます。
他にも電装系やセルモーターも熱いときに水をかけるのはご法度。
寿命低下のリスクが増えます。
外車等、部品の高いバイクは特に優しく接してあげましょう。
3.短距離の走行を過度に繰り返さない。
エンジン内部の話だけではなく、ベアリング内部に封入されているグリスもしっかり攪拌されてはじめて液化し性能を100%発揮します。
どうしても短距離走行を繰り返す場合、オイル交換サイクルを少し早めたり、長距離を走る回数を少しでも増やす等が対策になります。
4.真夏の渋滞は極力回避!
そのせいか知りませんが欧州車は暑さにあまり強くありません。
とはいえドイツでも40℃まで気温が上がることもなくはないですし、ローマやギリシャなんかは欧州内でも気温は高めですから一概に言えませんが。
とにかく日本の都市部の渋滞は高温高湿ということもあってエンジンにとって最悪のコンディションであることは広く知られています。
国産、外車問わず、レギュレートレクチファイア等の電装系部品は高温時のみ作動不良を起こすことがあります。
このような状況は再現性にも乏しく、プロの整備士にお願いしても解決にいたらないことがあります。
触らぬ神にタタリなしです。
真夏の渋滞を避けることは節約にも繋がりますし、健康や事故など様々なリスクを下げる効果があります。
避けられる様なら避けた方がいい程度のお話です。
5.ベアリングの入っているところは高圧洗浄しない
洗車時に水が入らないようテープで目隠ししたり、風通しの良いところに車両を保管するだけでベアリングの寿命は延びます。
タイヤ交換等、ついでがあれば定期的にグリスアップするのもオススメですが、どちらかというと整備マニアの手慰み的な部分も大きいので普通はあまりしません。
寿命が来たら交換です。
経験上ですが水の混入に気に付けるだけでもベアリングの寿命は結構延びます。
6.各部の注油・点検・清掃は面倒くさがらない
ブレーキフルードも変質する前にしっかり交換します。
バッテリーの点検も繰り返せば液の補充や補充電のタイミングがなんとなく分かってきます。
分かってくるまでしばらくガマンして手を抜かずにやりましょう。
バッテリーの寿命が大幅に伸びます。
その上で早めのバッテリー交換を心がけます。
弱ったバッテリーで長々とセルモーターを回すのも寿命低下の原因になります。
セルモーターの通電時間と寿命は密接に関係していますから。
まとめ 年間維持費と節約術も乗り手次第
その1台のバイクをどれだけの期間乗るつもりなのか、走行に支障がない範囲で不具合が出なければいいのか、それとも常に最高のコンディションを維持したいのか。
これはすべて乗り手の考え方次第で変わってきます。
ここで紹介したシンプルな構造のツアラータイプ(アドベンチャーツアラー)の場合、良いコンディションを維持するために年間維持費は約13万円でした。
そこからユーザー自身がしっかりメンテナンスを行うことで、6万円ほどの節約ができます。
ところが新車で購入し、車検切れを迎える3年までに手放したとしたらどうでしょう。
車検代はいりませんし、部品のメンテナンスなんてしなくても3年程度でどうこうなるものではありません。
ひょっとしたらエンジンオイルもほとんど交換しなくてもトラブルは発生しないかもしれません。
走行距離次第ですがタイヤ、各部の分解整備、その他もろもろが一切必要なくなるかもしれません。
そうすると年間維持費は、ほぼ保険料、税金のみ。
人気車種なら手放す際の下取り額にも期待できます。
金額だけ見れば、年間10万円以上の節約と下取り額も上乗せされて、ひょっとしたら1台を長期間乗る方よりも3年で50万近い節約になることもあります。
もちろん、乗り換え時の新車購入にかかる費用を考えると、決して総額では節約とはいえませんが。
常に新車を乗り継ぐスタイルで、バイクを消耗品としてみるのもひとつの考え方。
『バイクイジリ』も楽しみ方と捉えるのもひとつの考え方。
消耗品として見ながらも整備を怠らない中間の考え方だってあります。
手に入れたバイクを何年乗るつもりで、どれだけ手をかけるのか。
年間維持費はすべて乗り手次第というわけです。
とはいえ、バイクに乗りたての若い方には、少しずつでいいので出来る範囲で自分で整備することを勧めたいです。
長年バイクに乗るだけでも、知識も深まり、できることは自然と増えていきます。
自分で整備した回数だけ、整備に失敗した回数だけ、経験と知識は深まり、乗り方や楽しみ方の幅が広がります。
まずは洗車、次にタイヤの空気圧の調整、チェーンの注油と、ひとつずつゆっくり経験していくだけです。
別にエンジンをバラしたりベアリングの交換ができるようになる必要はありません。
整備が自分に合わないと思えば、いつでもバイク屋さんにお願いするようにするだけです。
ぜひ一度チャレンジしてみてください。