ヨーロッパの道路といえば、やっぱりドイツのアウトバーン!
そんなドイツの道路といえば、ヒトラーの遺産、スイス-ドイツ-オーストリアを結ぶ速度制限なしの自動車道「アウトバーン」。そして市街地の石畳です。
まずはこのふたつを実際に目の当たりにしようと、格安航空チケットの関係で降り立ったフランクフルトからバスで移動します。石畳も見たいので行き先は古都ローテンブルクに。
バイク乗りの視点から見たアウトバーンの道路事情
通行料無料ということもあってずいぶん混雑しているのかと思いきや、流れはとてもスムーズです。
車線数は片側2~3車線程度、速い車は左側を飛ばしていますが、言うほど速度は出ていない印象です。せいぜい140km/hくらい。
右側の遅い車線はほぼ100km/hです。
ごくたま~に、スポーツタイプのセダンが飛ばしていますが160km/hも出ていないんじゃないでしょうか。
バイクは大抵左側車線を飛ばしていますが、右側車線で車の後ろを行儀良く100km/hで走っているライダーも多くいました。
自動車もバイクも右側車線を走り、バスやトラックで前が詰まっていると、ひとつ左の車線から追い越して、すぐにまた右側車線に戻るといった案配です。
ちなみに、右側車線が100km/hと定速の理由は、バスの運転手ロディさんに聞いたところ
「規制でバスがそもそも100km/hまでしか出ないようにリミッターが掛かっている」からだそうです。
さて、左側車線を見ていてちょっとヒヤっとしたことがあります。左側を走る160km/hくらいの飛ばしている車の前に出てしまうタイミングの悪い車が結構多いんです。
ですが、飛ばしている方も慣れたもので、強めのブレーキで回避します。
ですがホーンやパッシングで威嚇するようなことはありません。
車間を数メートルまで近づけて煽るだけです。とても紳士的ですね。煽られた方もさっさと右側車線に戻っていきます。
渋滞やトロトロと走る区間は、大きな都市部や週末の中堅以上の都市くらいでした。
「ヨーロッパは石畳があるから・・・」はウソ!
いや、確かに石畳はあるにはありますが「石畳を走るためのアルプスローダー」なんて感覚はどうも無さそうです。これは日本人の思い込みか何かのような気がします。
そもそも走りを楽しむドイツの都市間の道、古都外周の道はちゃんとアスファルトで舗装されています。
石畳が存在しているのは古都の旧市街地内部くらいです。それほど広くない範囲です。
ライダーは皆、旧市街地の外周部や内部の広場近くにバイクを止めて観光していました。
石畳の多い場所は道幅が狭いところが多く、観光客も結構歩いています。
そんな人混みのある石畳の道をバイクで走ることはあまりないようです。
あまり走らない、通過するだけの所に焦点をあててバイクの開発はしませんよね?どれだけ道路整備された国だって多少は走りにくいところはあります。
日本なら工事による鉄板とか掘り返した後とか。
アルプスローダーを語る時に出てくる石畳の話は、日本人の空想ではないでしょうか。今回訪れた9つの町を見る限り、少なくとも私はそう感じました。
都市間の移動-ドイツの都市設計の妙!
日本の都市部はだだっ広く、どこまで行っても果てしなく「都会部」と「下町部」が交互に現れ、ゴミゴミしています。
中規模の街をつなぐ道も、山岳部を通ることが多く、ちょっと広めの道は渋滞していたり、快走路というのはあまり多くありませんよね。
ところが、ドイツ、オーストリアの場合ちょっと様子が異なります。
都市の都市の間にあるのは放牧地や畑ばかり。途中小さな集落が時々現れる程度です。
人口密集地が等間隔に配置されていて、その間を快走路が伸びています。
ちょうど北海道のような雰囲気です。
そのため、都市間の移動の間、信号はほとんどなく、子供が飛び出してくるといった心配もあまりないようです。
道幅は日本とそれほど変わらないのですが、制限速度が日本より高く、快適にバイクを走らせることができます。
また信号がない交差点「ラウンドアバウト」がとても上手く機能していると感じました。
交差点を作らずにサークル状の道路に4方から道を接続し、サークル内に右折進入し、行きたい方向の道へ右折で出て行く方式です。
この方式は長野県飯田市でも試験導入されていますよね。
このような感じで、ドイツ・オーストリアの道は、都市部を除いてバイクを完全に停車させることが少なく、非常に快適な様子でした。
何でもマネすることが良いとは思いませんが、日本の道路も欧州の合理性を少しは見習って、より快適になってくれると嬉しいですね。
ヨーロッパの道を走る自動車-日本車はマツダばかり
自家用車はセダンとハッチバックが日本より多めの印象でしたが、その他にもいろいろなタイプの車がまんべんなく走っています。それほど日本と変わらない印象です。
ワーゲンバスやチンクといったビンテージはほとんど見ませんでした。むしろ日本の方がたくさん走っています。
そんな中、一番たくさん走っていた自動車メーカーは「フォルクスワーゲン」と「アウディ」です。
時点で「オペル」「ベンツ」「BMW」あたりだと思います。
欧州車勢は日本で見ないモデルも多く走っていました。
欧州メーカーは日本で高級路線を保持しようと思っているのか、欧州で販売されている大衆車を日本で販売していないようですね。
日本でも売れそうなアウディやベンツ製のコンパクト・ハッチバックとか、格好よくてなかなか興味深かったです。
日本の自動車メーカーの車も結構走っていましたよ!
ずっと道路を見ていましたが、かなりの確立でマツダ車でした。
一番よく見たのは「アクセラ」です。ルノーの「メガーヌ」を2台見る間に「アクセラ」は20台は見ました。「アテンザ」はそこそこ。その次が日産の「ジューク」でした。トヨタ(レクサス含む)以下他の日本車も少しは見ますがあまり走っていませんでした。
ドイツ・オーストリアではマツダのひとり勝ちの様相です。
実際に見た印象は日本で抱いていた想像に近かった。 細かいディティールを確認できたことが収穫!
北海道に似ていると言われるのもその通りでした。
日本より高い速度で巡航できるアウトバーンや一般道を見て思ったのは、欧州ではウィンドプロテクションがとても重要だということです。
EU加盟国間の移動に入出国審査はありません。高速道路の標識に国名が書いてあるだけで、国境線を意識することもほとんどありません。
もし、自分がここでやってみたい事を思い描くなら、EU各国をすべて走破してみたいですね。
おそらく現地の方もサイフが許せば同じように思っているライダーも多いのではないでしょうか?
(C)Triumph Designs Limited / https://www.triumphmotorcycles.jp/
ヨーロッパの町と道を巡り、日本に戻ってきて思うのは、アドベンチャーバイクというのは、そんな冒険心や想いから今の姿に進化してきたのではないかということ。
R1200GS、タイガーエクスプローラー、ムルティストラーダ、そして今回発表されたV-Strom1000ABSもすべて。
日本で言われているような、アドベンチャーバイクは楽な姿勢だからとか、飛ばさなくなったライダーの最後のバイクだとかではなく。
毅然とした熱い冒険心。ヨーロッパのライダー達がどこまでも走っていきたいという気持ちを安心して託すために進化したバイク。
それはメガスポーツの様なものではなく、包容力のある旅の相棒です。
積載性・ウィンドプロテクション性能が高く、長距離走行でも疲れにくいヒザの曲がりが緩い、ダート程度なら安心して通過できるアドベンチャーバイクは、ヨーロッパのライダー達が欲しいものを詰め込んだ姿ではないのかと。
国境を越えてヨーロッパ全土を駆け巡りたい欲求がアドベンチャーバイクの根底にあるような気がしてなりません。
家の扉を開けると、目の前にそんなフィールドが広がっているヨーロッパがほんの少し羨ましく思えてしまうのでした。