おつかいを頼まれてクリーニング屋さん、くだもの屋さん等に向かいます。
このあたりのくだりは以前の記事参照。
せっかく数カ月ぶりのバイクですしちょっと遠回りして目的地に向かいます。
今回は紀伊半島最長ダートと呼び声の高い、「川津今西林道」と「猪笹林道」に寄り道です。
南阪奈道路を「葛城」で降り、r30、r261を乗り継いで五條市からR168を南下します。
R168を十津川まで進み、日本三大酷道と名高いR425に突入。
ほどなく今西林道(林道 川津今西線)の案内板が現れます。
入口付近には案内板がたくさんあるので迷わず進めます。
始点からダート入口まではほぼ全線が舗装林道です。
標高を上げながらダート入口を目指します。
舗装はここまで。
R168方面からやってきました。右手には入口のフェンスが口を開いています。
すごく路面がいい締まった土のダート!幅広!
極上です!
標高1,000mを超えるところがある林道、絶景が続きます。
数日前までの台風や大雨が襲った場所ですが、このあたりはまだ荒れていません。
法面はちょっと「もろっ」としてますが、影響も少なそう。
世界遺産の熊野古道、小辺路の三浦峠まで進みます。
ここには立派な史跡案内板と休憩所があります。
4輪や自転車で訪れる人もいるかと思っていましたが、静まり返っています。
幅広の林道は緊張せず走れて気持ちいいです。
休憩もそこそこに先へ進みます。
最後の目的地、「クリーニング屋さん」まではまだまだ先が長いですから。
ん?
先の方でなんか木材が大量に流れてます。
白くなってて古そう。
近づいてみるとワイヤーが数本走っています。
滑車に木材が吊るされています。
材木を下ろす作業場みたい。
重機やトラックが入ってこれる場所ではないと思うのですが・・・
途中道幅が狭い場所もあった気がしますし。
通ってこられるのかな?
ここから先はところどころガレてます。
ゆっくり先を進んでいると、突然バイクが沈みます。
フロントタイヤに重くまとわりつくような感触。
「!!」
マズい、とてつもなく非常にマズい!
柔らかい土にタイヤを取られました。
こんなところでスタックしたらバイクも引き上げられません。
でもすでに手遅れ。
ここからひとりで190kgのバイクを押してて引き返すこともできそうにありません。
いまにも停車しそうな中、頭をフル回転させ即決断。
迷わずじんわりアクセルを開けて前に進みます。
なんとか脱出!
固い地面を確認して停車。
タイヤを見てみると溝が詰まってスリック状態です。
ほっ。アナキー3、よく抜けてくれました。
振り返ると・・・
結構長い区間がぬかるんでいました。
雨の影響は表面だけじゃ分かりませんね。
埋め戻そうかと思ったけどやめておきました。
このままの方が後から来る人に路面状況がよく伝わると思うので。
この道を整備されている方ごめんなさい。
ここはフラットダートと思われていますが、実際はアップダウンも多い地形です。
脆くなった長い急傾斜、何度もこけそうになりながら進んだ場所もあります。
このぬかるみもそうですが、重量車で挑むときはある程度しっかりしたブロックタイヤで来た方がいいです。
まだお使いの途中です。
最後の目的地である「クリーニング屋さん」までまだみち半ば!
気を取り直して前進します。
標高1,000mの山の中、誰も通りかかりません。
目をやるとどこも癒される自然の光景ばかり。
癒されます。
古くからある林道のせいか、コストがかかっていることがよくわかります。
湧水に溜め池を作って洗い越ししているところもあれば、ヒューム管を使って処理しているところも。
ちょっとずつ新しいゴミの排出が少ない工法を取り入れているのかもしれませんね。
世界遺産の峠もあることですし。
静寂の中、沢水と風の音だけがあたりに響きます。
森の木々を抜け、出会うのはカモシカ等の野生生物だけ。
小さな滝みたいな沢水の溜め池。
しばし耳を傾けます。
全線すばらしいロングダートで絶景が続き、大自然を感じられる点でこれまでにない本当に素晴らしい林道でした。
ですが・・・
標高が高すぎて、どこもかしこも『落ちたら死ぬガケ』だらけ。
写真を撮ることすらできなかった場所もあります。
崖又山の崩落場所は台風や雨の影響でガレた上、法面と谷の間にあるのはタイヤ2、3本分の道幅。
右手は落ちればほぼ死亡気味の崖。
左手から頭上にパラパラ何か落ちてきている、今にも崩れそうな土の法面。
最悪バイクを放り投げて体だけでも生還するつもりで通りましたが、あまりにもえげつないです。
土曜にゆっくり走りましたが、誰ともすれ違いません。
バイクを失うと林道を抜けるために、戻っても10km以上、進んでも10km以上、なんとか下山したとしても戻るのは山深い人通りのほぼない鬱蒼とした酷道425号。
当日のうちに帰宅はまず不可能。
野生生物に怯えながら夜を明かして下山するなんて想像もしたくありません。
見た目とは裏腹にソロでは危険すぎる林道です。
今回の川津今西林道、猪笹林道、私がひとりで訪れることはもうありません。
けど、崖又山の手前までなら、ちょっとオススメ。
こうして名残惜しみつつ猪笹林道を南へ抜けて、片道30kmほどの冒険を終えました。
まだ序章ですけど。
ところで、野所長谷線 や其ヶ谷線あたり、ガレてはいますが、ちゃんとした装備で挑めば余程でない限り大怪我まではいきません。
最悪バイクを捨てたら大きな国道まで歩いて戻れます。
その点、山奥の林道、標高の高いところは本当にえげつないと実感しました。
同じ山深いところでも、京北なんかの短い林道を刻んで走る方が精神的にもずっと楽です。
これが今回の教訓。
つづく。
コメント
下り始めてから引き返せないことに気付いた時の冷や汗は私も何度か経験があります。
アナキー3、バトルウイングなども優秀ですが、ヌタではやはりブロックタイヤが安心ですね。
じろぽんさんこんばんは!
やっばりそうですか。
実は自分のバイクでブロックタイヤは履いたことがありせん。
次回履いてみようかな。
アナキーワイルドかカルー3あたり興味があります。
アナキーワイルドで本格的なヌタはまだ未経験ですが、カルー3ではバトルウイングで制御不能なヌタもかなり安心して走れました。
個人的にはヌタ、小砂利、サンドはブロックが良くて、ガレはロード寄りタイヤとそんなに変わらない印象です。
でもヌタ+濁流や霜柱の立った急坂みたいなところでは進めず引き返すのも大変苦労したこともあるので過信は禁物です。
あとはF700GSだと車重もそこそこあるのでガレの急坂が多かった日などはブロックの根元に亀裂が入っていてそのうちもげるかと少し心配しました。結局もげませんでしたが。
しまともさんのブロック体験談お待ちしてます!
じろぽんさんこんばんは
すごい所いってますね!
大阪は荒れた林道ばかりなので、どうしても近隣県に遠征気味です。
ブロックタイヤで近場の林道も行けるようになればと期待してます。