G650GS標準車高化の第4話。
標準車高用のフロントフォークとローダウン仕様のフロントフォーク、違いはダンパーロッドだけ。
ダンパーロッドが短ければ、伸ばした状態のフォークが短くなります。
逆にダンパーロッドが長ければ伸ばした状態のフォーク長は長くなります。
フルストローク位置は変わりません。オイルロックピースが機能するところまで。
違いはたったこれだけ。
厳密には油面(エアチャンバー容量)も違いますが。
その上、実は部品がF700GSとほぼ共通。
アウターチューブは違うようです。
BMWの生産効率の求め方って面白いですね。
ダンパーロッドとOリングを発注、1週間程度で到着しました。
フォーク下部のガスケットを発注し忘れたのですが、再利用できなければ再度発注するとして、まずは作業に取り掛かってしまいましょう。
バリバリーっと箱を開けると・・・
うむむ・・・作業中断。
多分古いのでしょう。
なんぞサビ止めを塗っていたけど空気中の水分と反応し枯れてしまい役立たずに。
今はところどころサビが浮いている。
そんな感じの状況。
BMWの名誉のために書いておきますが、こんなのはどこのメーカーでも普通によくある話。
もっと強烈な「国産バイク部品の笑えないけど笑える話」、結構なストックがあります。こっちはとても書けませんが。
指先程度のサビなんて珍しくもありません。男は黙って綺麗にします。
ピストンの頭、白い部分は上下からバネを受ける部分です。
素材はデルリンかジュラコンかな。
酸化反応でホルマリンを生成するので燃やしてホルマリン臭かったらPOMです。
燃やしたら使えなくなるので確かめようがありません。
耐衝撃性も強いのでPOMで間違いないと思いますが。
非常によくできたエンプラで、金属との摩擦係数がとても小さく自己潤滑性を持っています。
樹脂ギアによく使われている奴ですね。
パイプにカシメて留めてます。
パイプに開いた穴はフォークオイルが通るところです。
フォークが上下することによりフォーク内部の部屋の容積が変わり、オイルが出たり入ったりします。
オイルが出たり入ったりするときに起こる抵抗が減衰力。ダンピング。
穴の大きさや位置が減衰力特性を決めます。
この穴をいったん塞いで、あらためて径を変えて穴を開けなおす作業をオリフィス加工といいます。
減衰力の発生具合を調整できますが、一般ライダーにはあまり必要のないカスタムですね。
このダンパーロッドを使った減衰力発生装置はカートリッジ式に比べるととてもシンプルな構造です。
しかしムダがありません。大好きな構造。
余談が過ぎました。
このグズグズの表面をどうしたものか。
このまま使うとフォークオイルが一瞬で得体のしれない異物まみれになりそう。
やっぱり磨くしかありません。
とりあえずスコッチブライト的な1000番のナイロン不織布(Amazon)で磨いてみます。
ピストンの頭がPOMかもしれません。
磨くのがイヤで薬品等を使うのは控えた方がいいです。
こういう複合品は何がどう影響を及ぼすかわかりません。
POMは一般的に有機溶剤に強い反面、塩基性にも酸性にも侵されます。
いくつかの弱酸性溶液、たとえばシミ抜きや消毒にも使われることのある次亜塩素酸なんかで強度低下が起こり得ます。
膨れるのかグズグズにもろくなるのか、いったいどんな反応をするか分かったものじゃありません。
使うケミカルがどんなものか調べるのも億劫。
仕事でも趣味でも、まして生活に影響のないものに割く時間はありません。
よく判らない事象には『触らぬ神にタタリなし』。
つまりヘンなもの付けずに削るのが正解。
もう片方は・・・なんかシミになってますね。
フォークの仕事中に何かがポロポロ剥離しなきゃおっけ。
このくらいどってことありません。
今日のところは磨くだけで終了です。
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