形のないお守り - しまともの大冒険(4)

ごまさんスカイタワーの公衆電話 バイク

猪笹林道を抜けてR425に出ました。

右に曲がれば「道の駅 龍神」、左へ曲がればもときた林道の入口です。

R425を右へ西進、「道の駅 龍神」に向かいます。

龍神では水分を補給しながらタイヤの空気を入れなおします。

タイヤは少し温まっているのでF2.2、R2.5あたりまで。

経験上、冷間時にはF2.0、R2.2くらいに落ち着きます。

途中で買ったクリームパンを齧っていると通り雨がパラつきはじめます。

この時期、山間部の天気は不安定ですね。

休憩もそこそこに出発、本当の目的地に向かいます。

「道の駅 龍神」からごまさんスカイタワーまでの道中、淡々と。

小雨のなか、路面を確かめながら安全に。

ほどなく「ごまさんスカイタワー」に到着。

ごまさんスカイタワーの公衆電話タバコを一本ふかします。

駐車場にはたくさんのバイクが集まっていました。

暑い駐車場で座り込んで、しばらくボケっとどこかを眺めます。

頃合いを見てふたたび出発。

目的地に到着

「ごまさんスカイタワー」から高野方面に10分ほどバイクを進めたところ、ゆるやかな左の下りコーナーが目的地。

バイクを降りて手を合わせます。

こういう話はあまり公言する話でもないですし、ブログの記事にするにはふさわしくない内容なのかもしれません。

もしご両親や親族の方がこのブログを読んでどう思われるのか、もし当時の辛さ悲しさを思い返してしまうとしたら、そんな風に考えて躊躇するところも正直あります。

けれど『機会があるごとに話そう書こう』と6年前に決めたので。

3人でツーリング中、ここで友人がなくなりました。

とてもいい人です。

どのくらいいい人なのかというと、6年ほど前、夜中10時頃、こんな風に電話をかけてきてきたことがあります。

「実はイベント会場で若い子と知り合ったんですが、その子初めてのバイク、ヤフオクで買ったらしいんです」

「ふーん」

「ブレーキは効かないし、フォークからオイル吹いてるし・・・」

「へー」

「コイツ放っておいたら死にそうなんで、連れて帰ってきちゃいました。へへ。」

「物好きねー」

「部品入ったんで今からオーバーホールするんで手伝ってもらえません?」

「りょうかいー。・・・今から?」

こんな事をする人。

あと故障車や困ってる人を見たら、状況構わず手助けをしようとする人。

こんな人なので、しまともは基本軽薄な人なのですが、以後彼のそういうところを真似ています。

そうそう「芋神様ステッカー」を知り合った人に配りまくるような人。

もらったステッカーは貼ったことありませんが。引き出しのコヤシです。

友人も多く、いま手を合わせてるこの場所にも、まだ新しい酒瓶やタバコや花が置いてます。

いつ来てもここに酒が絶えているところを見たことがありません。

後悔していること

あまり人には言いませんが、後悔していることがひとつあります。

あの日、何度もバイク事故に遭遇していました。

最後に遭遇した事故はロスマンズカラーのCBR1000RRが側溝に落ちた自損事故。

ちょうど「ごまさんスカイタワー」から5分ほど高野側へ降りたところです。

いくらなんでも今日はおかしい。嫌な感じしかしない。

夕暮れの龍神スカイライン、手助けしたCBRが去ったあと、年長者のしまともは言いました。

「今日はやな感じするし、気を抜かずに。気を付けて帰ろう」

彼は頷いていましたが、この数分後に事故は起こりました。

2台はさっさとコーナーを抜けて見えなくなってしまいました。

きっと速度は控えめだったと思ってはいますが。

しまともはあくまでゆっくり。

ついてこない事に心配して速度を落とすだろうと見込んでいました。

だから事故自体は自身の目で見ていません。

見えたのは先の方で上がった少しの土煙だけ。

年長者だった自分がもっと強く言っていれば。

ゆっくり走って速度を落とさせるなんて消極的な方法ではなく、彼の代わりに先導すると言っていれば。

ひょっとしたら結果は違っていたのではないか。

それが今も残る後悔。

たくさんの助けてくれた人

たくさんの人が助けようとしてくれました。

事故の光景を一目見てすぐに、バイクから降りずに『ごまさんスカイタワー』に引き返しました。

もうダメなのかもしれないと内心思いました。

公衆電話で119番に掛けるとすでにドクターヘリを出せる時間ではないと言われました。

ですが助かるかもしれないからと強く願うと、『わかった、出します』と無理を通してくださいました。

ごまさんスカイタワーのスタッフの方も手助けになるかもしれないからと車で現場に向かってくれました。

ですが結果はみんなの願い通りにはなりませんでした。

変わったこと

原因は何であろうと、誰しも事故にあう可能性はあります。

私自身、無謀運転はせず、日ごろから気を付けているつもりでも明日は我が身です。

それでもバイクに乗り続けている中で、あの事故から決めたことがあります。

危ない運転してる奴が目の前にいたらハッキリ言うし、余計なお世話も焼くということ。

困っているバイク乗りがいたら、必ず声をかけるということ。

要は彼がしていたことです。

これは年配のバイク乗りがすべき事です。あのときそれに気が付いたという話です。

けれど若い人に『ジコハアブナイアブナイ』言ってもどうせ真剣に耳なんて傾けるはずないです。

自身そうでしたから。

どこか自分だけは大丈夫と思い込んでいましたから。

形のないお守り

事故が起きやすい時間帯を知っていますか?

薄暮時、16時~18時と言われています。

日も低くなり、視界の明るさが方角によって目まぐるしく変わる時間帯です。

ツーリングも終盤、疲れもピークに達しつつ集中力の途切れやすくなる時間帯です。

自動二輪の死亡事故、どのようなシチュエーションで起こりやすいか知っていますか?

自動二輪の死亡事故の約40%が観光やドライブ、つまりツーリングの最中に起こっています。

これは自動二輪だけの特徴です。

大都市在住のライダーは近隣県で死亡事故を起こしています。

大阪に住んでいたライダーの死亡事故、府内での発生は40%未満です。残り60%以上は、京都、奈良、兵庫等で起きています。

同じく東京在住のライダーの死亡事故は都内ではなく、70%近くが神奈川、静岡、長野等の近隣県で発生しています。

統計のデータとしてこれらは一般公開されています。

頭の片隅に、このデータを入れておきませんか?

四六時中、バイクに乗っている間中、事故に遭わないことだけを考え続けることはできません。

でも一度何かで読んだなと、何かの拍子に思い出すことが出来ます。

夕日がヘルメットに差し込んで少しまぶしかった時、ツーリングも半ばを過ぎて集中力が途切れ気味のとき、ふと思い出すようになります。

『そういえば誰かがあんな事書いてたな。急ぐ旅路でもない。ちょっと控えめの運転をしよう』

ひょっとしたら気づかず役つこともあるかもしれません。

これはそんな形のない「記憶のお守り」です。

長々と書いてしまいました。

最後までお付き合いくださった皆様、ありがとうございます。

どうぞこの「お守り」もぜひお持ち帰り下さい。

場所もそれほど取りませんので。

そして機会があれば、また誰かに渡してあげてください。

 

今年はちょっと遅くなりましたが、ようやく目的を達成できました。

たった1日の外出で1週間以上書き続けた大冒険も次が最後!

くだもの屋さん経由でラスボスの待つ最終目的地に向かいます。

つづく。

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