アドベンチャースポーツツアラー”MT-09 TRACER”が2018年この春、メジャーアップデートを果たしました。
名前も変わります。
“TRACER 900”
MT-09の冠を外した意図
元をたどるとMT-09はヤマハ渾身の新型3気筒エンジンを搭載したストリートファイター系の車両でした。
ヤマハ自身はモタードとネイキッドのハイブリッドと言っています。
では初代MT-09 TRACERはどうだったのか。
こちらはアドベンチャーツアラーとロードスポーツのハイブリッドといった様相です。
元がモタード・ネイキッドですから、乗車姿勢や風格がもともとアドベンチャー系に近いものがありました。
高出力で比較的しっかりした足回りを持っています。
スポーツマインドを捨てたくない、けど長距離ツアラーが欲しい層を狙い撃ちです。
実際にそういった層に売れました。
今回名前を変えたTRACER900、実にヤマハらしい手法で大胆なアップデートを実施。
MT-09を車名から削除した理由は、ツアラーとして純度を高めたことの表れではないかと思わずにおれません。
接地感の向上がもたらすもの
一番の目玉はズバリ、リアサスの延長です。
ヤマハはこれまでも既存モデルに対し、スイングアームを新造して熟成させる手法をよく取っていました。
では今回どんな理由で延長したのか。
MT-09 TRACERの短いスイングアーム+リンク式リアサスは、高荷重で動く分にはなんの違和感はありません。
路面にしっかりタイヤを押し付けてグイグイ曲げていける足回りはとても良く出来ていると思います。
ですが同じ速度で延々と続く直線、たまに緩やかなコーナーが出現するようなクルージング、車体を軽くリーンさせるだけのシーンではリアの接地感がやや判りずらい面もあります。
経験上ですがこれはリンクサスの特長です。
短いスイングアームもライダーの受け取る荷重感がやや薄くなる傾向があります。
高性能なリンク式モノサスですが、リアの操舵感、荷重感といったものをダイレクトに感じたい方の中には直付けを好む方もいるくらいです。
スイングアームの延長は『目を三角にしてコーナーに飛び込み、コンパクトなラインで駆け抜けたい!』という反対の方向、『長距離ツーリングでリアサスの動きや接地感を感じやすくなり、気持ちよくワインディングロードを流せる、疲れにくくなる』的な方向へ舵を切ったことを意味します。
あえてMT-09の冠を外した理由がここにあるのかもしれませんね。
スイングアーム60mmの延長、決して短いものではありません。
余程なんとかしなければと思っていたに違いありません。
明らかに特定の目的を目指したモデファイです。
このTRACER900が欲しいかと自問してみる
この世の中のバイク全部欲しいと思っているしまともですが現実にそれは不可能。
ではこのバイク、G650GSから買い替えたいかと自問してみます。
スポーツツアラーですが6速で230km/hほど出るバイクです。
排気量も大きく、ワインディングでのシフトチェンジは2速と3速をいったりきたりするくらいでしょうか。
楽で速いでしょうけど、操ってる感はちょっと物足りないかもしれません。
高速巡行はとても楽でしょうね。適度な大きさのカウリングと高い視点からの眺めはかなりのハイペースを維持しても疲れにくそうです。
峠道も高速も気持ちよく流せそう。
100bhpを超えるDOHC3気筒エンジンですからフラットなトルクは扱いやすいです。
楽しくなっちゃって年甲斐もなく腕白なライディングしちゃいそう。
とても魅力的だと思います。
若い頃にこういったハイパフォーマンスのツーリングバイクに出会っていれば、さぞ楽しかっただろうなと思います。
休みのたびに信州や伊豆を巡り、夜な夜な高速を走ってみたり。
20代の頃ににMT-09 TRACERを持っていたら3年で4,5万キロは走っていたかもしれません。
ですが正直なところ、いまの個人的な好みで言えば、ハイパフォーマンスでスポーティな走行を楽しめるツーリングバイクよりも、純度の高いスポーツバイクでツーリングするか、XSR900の様な雰囲気のあるスポーツバイクでツーリングする方が好みです。
いまは50bphに満たないG650GSで、120km/hまでの速度域を5速まで使ってガチャガチャやったり、ほのぼのツーリングするのが新鮮で楽しいと感じています。
山の中にも入れますしね。
Tracer900はとても魅力的ですが、まだG650GSに付き合おうかという気持ちになります。
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