壊れたら交換?それとも定期グリスアップ?
最近のホイールベアリングは耐久性も高く、車両の雨ざらし保管・高圧洗浄機の使用・頻繁な水没さえなければ数万キロは十分に持ちます。
逆にハードに使い込まれるオフロードバイクの場合、頻繁な水没、高圧洗浄機での頻繁な洗車を行うことが多く、距離に関係なく年1回程度はグリスアップを実施します。
ここをグリスアップする理由は、回転の抵抗を減らす事だけでなく、ホイールの保護という側面があります。ホイールに圧入されるベアリングは無限に交換できるものではありません。ベアリングの交換ごとにホイール側のハウジング内径が広がってしまい、数回程度の交換でベアリングが圧入できなくなることがあります。圧入できなくなるとホイール自体を交換しなくてはなりませんが、そのころにはおそらく純正ホイールの入手は難しくなっていることでしょう。
もし、愛車を何十万キロも走らせるつもりなら、定期的なグリスアップを行い、1本のホイールでバイクの寿命を全うさせることを目指しましょう。定期的なグリスアップによりベアリング自体の寿命を延ばし、結果としてホイール代も浮かすことのできる賢い節約といえます。
適合するグリース
ベアリングのグリスアップ作業では3か所、グリスを使う場所があります。『シールドベアリング内』、『ホイールカラーにあたるダストシールのリップ部』、『アクスルシャフト表面』の3つです。適合するグリースと理由を解説します。
シールドベアリング内
ウレアグリース、リチウムグリースの中で用途欄にホイールベアリングをうたっているもの。
マニアの中には、スーパーゾイルグリース(リチウム)、NC-100といった対ベアリング性能に特化した高価なグリースを使う方も多いですが、安価なグリースを使ったからといって問題が出るといった話も聞きません。お値頃感のあるグリースでも十分です。
ダストシールのリップ部
適合するのはラバーグリース、シリコングリースのふたつ。
メタルラバーも使えそうですが、成分的に避けた方がよさそう。
求められる性能は、ゴムを犯さないこと。これが必要な最低条件です。
金属とラバーパーツの境界、摺動する部分に使えるグリースはラバーグリースとシリコングリースくらいです。
浸水やホコリから守ることも求められるので、耐水性とある程度のちょう度があればなおよしです。
アクスルシャフト表面
原理的にこの場所に最もふさわしいのはモリブデングリースです。
グリスが流されたあとも、個体潤滑により摩耗を低減してくれます。モリブデングリースはメーカーや社外アクスルシャフトメーカーも指定しています。
ただし、表面のグリスが枯れないうちに再塗布するなら、ウレア・リチウム系の万能グリースでも問題は起こりません。
ちなみに、アクスルシャフトの摩耗は回転によるものではありません。振動やアクセルのオンオフによる接触点の変化が摩耗を呼び起こします。
そのため、気を付けるべきはグリースの種類ではなく、部品洗浄やトルク管理を含めた『正しい組み立て』です。
グリスアップの頻度
部品の長寿命化に必要なグリース交換サイクル、頻度は使用環境によって大きく変わります。
それこそオフ車なら毎年必要なこともありますし、オンロードバイクで走行距離や保管環境次第では、5年以上不要な場合もあります。
オススメはタイヤやチェーン・スプロケの交換時に実施すること。
ハードに使うオフ車ならタイヤは年1回は交換するでしょうし、オンロードバイクでも3年くらいでタイヤを交換することが多いと思います。
高圧洗浄や水没が続くようなら、自分自身で目視確認してください。
ときどき分解チェックしてどのくらい持ちそうか、自らの目で確認しておくことで、メンテサイクルはおのずとわかります。
ネットの情報や経験者の受け売りを信じるよりも、まず自分で確認が基本です。
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