ステム周りはやる価値のある重整備
重整備といっても、エンジンに比べればとっつきやすい整備。
ステムベアリングが痛むと、ハンドルがセンターから切れにくくなるので、多くの方が早く異常に気づきます。多少の切れにくさなら、ライダーが無意識にハンドルを補正してしまうのですが、この状態で長時間走行が続くと肩も凝り、疲れも溜まりやすくなります。
ここを整備するとハンドリングや疲れやすさが大きく改善するので、整備の前後での違いが歴然、感動すら覚えるほどです。
過去に書いた整備記事でも、ステムベアリングは結構読まれていました。
とっつきやすいと言っても、フロント周りのパーツをほとんど取り外してしまうわけですから、ハードルは高め。私もはじめてここをバラすとき沢山のサイトで情報を集めまくったものです。
ここはグリスアップを定期的に行うことで、部品(ベアリング)の寿命も伸びるうえ、劇的な変化を感じ取れます。ですが、ホイール、ブレーキ類も取り外すことになるので、作業は慎重に。
そして、メンテ初心者の最初の作業としては重整備すぎます。キャリパーもホイールもまだ外したことのない方は決して自分では行わないように。作業はプロに任せて見学でもさせてもらいましょう。
適合するグリース
比較的粘度が高めの万能グリス類
リチウムグリース、ウレアグリース、ウォータープルーフグリースと呼ばれるものならOK。
反対にモリブデングリース、シリコングリース、ラバーグリース、高回転ベアリング専用のグリースなどはまったく不要です。
ステムベアリングは極圧性は必要ですが、高速回転する場所ではありません。ある程度の防水性と極圧性能さえあれば何を使っても大丈夫。
もし心配ならパッケージの用途欄に「ベアリング」と説明書きのあるものを選んでください。
ステムベアリングが劣化する原因
使い古されたベアリングレースによくみられる「打痕」ですが正式には「疑似圧痕」ともよばれることがあります。
なぜ疑似とつくのか。それは原理的には『打ちつけた痕』ではなく、摩耗や腐食といった仲間に分類されるからです。技術的には。このあたり詳しい解説は下の記事をご覧ください。
微小振動による摩耗と腐食の原理については、整備する側としては本当のところ、どうでもいいのですが、原因を知らなくては予防ができませんしね。
この振動による摩耗を抑えるために整備者ができることはたった2つ。
1.グリスを切らさないこと。
2.適正な与圧をかけること。
このふたつです。どうしてそういう結論になるのかをお知りになりたければ、上記ページをご参照ください。
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