ステムベアリングとは、フロントフォーク、ハンドル等を保持するステアリングステムと車体フレームの接続部分に使われています。
リチウムグリース、ウレアグリース、モリブデングリースなどなど。
ここに使用するグリース、人によってまちまち。
何を使うのが正解なの?
使うべきグリースはこれだ!
極論を言ってしまえば、金属対金属で使用するグリースならなんでもOKです。
特に定期的に入れ替えを行うならなおさらです。
なんでもOKではありますが、消去法で少しは絞り込めます。
モリブデングリースを使う必要はない
まずモリブデングリース、これは使う必要がありません。
このステムベアリング周辺のフレームとステムに囲まれた空間は完璧ではないにしろ、ダストカバー類である程度密閉されています。
水とホコリから守られており、熱源からもわりと離れているので、オイルが枯れて個体潤滑に頼る必要のない場所なんです
極圧性が必要な場所ではありますが、リチウム系やウレア系のマルチパーパスグリースで十分です。
シリコングリースも避けよう
特にステムベアリングの下側、こじるような大きな荷重がかかる場所です。
フレッティング摩耗による打痕(疑似圧痕)が発生しやすい場所です。
こういう場所には極圧潤滑があまり得意ではないシリコングリースは避けます
ベアリング使用に定評のあるふたつのグリース
用途欄にベアリングを謳ったマルチパーパスグリースなら本当になんでも大丈夫なんですが。
メンテマニアや整備士の中にも一定のコアなファンがいるグリースがいくつかあります。
そのうち、実際に同じベアリングに仕込んで効果を確認しているふたつを紹介します。
NUTEC(ニューテック) NC-100
とにかく低フリクション。ベアリングのスムーズな回転を求める方から厚い信頼を得ています。
グリースの中でも特に有名な製品ですね。
耐熱性、耐水性、せん断にも強く安心して使って大丈夫です。
低フリクションを活かす使い方としては、シールドベアリングの場合、封入するグリース量はベアリング内部の容積の半分以下と通常よりも減らした上で、1~2年毎の短いサイクルで再グリスアップします。
ステムベアリングに使う場合でもこってりと山盛りに盛るような使い方をするタイプではありません。
全体がうっすらグリスに覆われていれば十分。
ゾイル SUPER ZOIL グリース
リチウムグリースですが、こちらもベアリングには最適なもののひとつ。
このグリースの売りである消音性はちゃんと感じ取れます。
そしてこのグリースの特徴である金属改質効果、こちらは長くつかわないと分かりにくいところがありますが、期待してもいい特徴ですね。
実際に使った印象は、せん断にも十分に耐性があること。
数年後に開けたホイールベアリング内部のグリースが、ほとんど新品とかわらない見た目と粘度を維持していました。
とはいっても、高級グリースはどれもそんな感じなんですけどね。
ステムベアリングに使うグリースの量
ステムベアリング、水やダストシールでおおわれている比較的良い環境にあるので、必要なグリース量は実はそう多くありません。
うっすらと付いている程度でまったく、全然!問題ありません。
けれどステム周り、頻繁にガンガン高圧洗浄するなら、この状態ではちょっと問題があるかも。
ベアリングメーカー自身も認識している話ですが、防水防塵を目的にグリースをめいっぱい使うこと自体は正しい考え方なのです。※シールドベアリングを除く
ステムベアリングにとってグリースをたっぷり入れて害があるわけではありません。
サイフに優しくないという害はありますが。
あなたのバイクですから、あなたが納得する量を入れてなんら差支えはありません。
入れすぎからスタートして、次から様子を見ながら減らしていけばいいのです。
むしろ気を付けるべきは高圧洗浄のやり方。
ここに強力な水圧を掛けてはいけないということが判断できるセンスが必要です。
それさえあれば、大量にグリースを使ってしまうということは徐々に減ってきます。
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大変参考になりました。ありがとうございました。